家のコンシェルジュ
私の事務所で設計した住宅ではこのところ、お子さんの誕生が続いています。
この2015年に4人の赤ちゃんが生まれたのですが、
それぞれの家に伺って、階段などの手摺に落下防止ネット設置の手配をしています。
先日は「浅草A」という住宅の、螺旋階段をはじめとする手摺に安全ネット設置工事を行いました。
浅草Aはもともと4階建て事務所併設住宅だったのですが、2010年にリノベーションし、
1-2階が兄夫婦、3-4階が妹夫婦の住む二世帯住宅となりました。
そして今年の夏、それぞれの世帯でお子さんが生まれ、それぞれの階段手摺にネットを設置することになりました。
難しいのは特に1-2階の螺旋階段です。
これはもともとの建物にはなかった階段ですが、1-2階直通で行き来するため、
既存鉄骨梁のスパン内に入る最大の螺旋階段を入れたのでした。
とはいえ螺旋階段が入ることが想定されていない梁スパンだったため、天井に開けられた開口部の内側に手摺を連続させて最上部までまわすと有効幅が70センチを下回り、狭すぎます。
そのため、1階の手摺は天井で一旦分断されています。
そうすると、ネットも分断されます。ここにどうネットを貼るか。このようなケースは初めてです。
そこで円弧部分はアルミのフラットバーで押さえていきました。結果、綺麗な円筒形を形成することができました。
このように、住宅の設計は竣工して終了ではなく、何かあれば私たちはその先も関わっていくことになります。多いのは今回のようなお子さん誕生後の安全ネット貼り。そして入学時の個室化や収納増設です。
まるで家のコンシェルジュ?
あるいは、家に関してなら大抵のことは知ってる親戚のおばさん?(おじさん?)
そして子ども達にとっての家の記憶が、
あたたかかったり、
たのもしかったり、
美しかったり、
なにかとてもよいものとなることを願いつつ、身が引き締まるのです。
都留理子@家をつくろう会議
http://iekaigi.com/